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うるさーーーい!

「それでも町は廻っている」

商店街のおばあちゃんがやってる喫茶店でメイドをやってる女の子っていう、読み始めたときはそれだけの印象のマンガだった。推理好きっていう設定が、こんなに歩鳥のキャラと物語を引っ張っていくとは。でも結局は、人が前に進むための武器なんかは何か1つあればいいっていうことなのかもしれない。見た目がすごくいいわけじゃないし、ドジばっかで周りから白い目を向けられていても、何か1つ自分を自分たらしめるものさえ持っていたら。

それ町」は時系列がシャッフルされていて、前の話と次の話で季節が変わっていたり、年月が飛んでいたりするから、最終巻に収録されている話よりあとのことも昔の巻に出てきたりしているのかもしれない。

その、いっぱいある中からつまんできたものを見せられる感じが、まだまだ歩鳥のお話は終わったわけじゃなく、僕らが見ていないところで「それでも町は廻っている」んだろうなという感じが、嬉しいような、自分ひとりが引っ越しをしてしまいもう会えなくなってしまった友達のことをいつまでも思っているような、ずっと作品が自分に寄り添っている気分にさせられる。

真造圭伍さんが「森山中教習所」のあとがきで「もう会えないけど、ずっと友達の人もいる。そういうことを伝えたかった」というようなことを書いていたのを少し思い出す。

森山中教習所 (ビッグコミックス)

森山中教習所 (ビッグコミックス)