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うるさーーーい!

ヲタクに恋は難しい


マンガ好きの女の子ということで、モデルの外川礼子さんを取材させてもらったことがある。最近読んでるマンガを尋ねたら、ちょうど彼女が持ってきていた「ヲタクに恋は難しい」をオススメされたのが去年の5月のころ。タイトルは知っていたのだけども、こういう読まなくとも内容が把握できるようなものって後回しになりがちで、そのときはあんまり作品について踏み込んだ話はできなかった。

最近になってようやく読む機会があったのだけれども、いわゆる「あるあるネタ」のオタクバージョンがいっぱい詰め込まれていて、その「あるある感」を説明しなくてもわかってくれる相手と一緒にいるのは楽しいよねっていうマンガだった。2ちゃんねる語や、逆CPとかリバとかの腐女子知識を日常会話で多様したり、友達の家に泊まりこんでマリオカートをしたり、オタク同士だから取れる無遠慮なコミュニケーションが登場人物の仲良し感を演出している。また細かい用語の説明とかはなく、登場人物の会話についていける読者もまたオタク。この人達と自分は仲間なんだという連帯感を、読みながら覚えた。

オタクサークルの青春を描いた「げんしけん」とか、学校内の奇人変人が集まる部活・光画部の日常を見せる「究極超人あ〜る」とか、ラブコメだったりギャグだったり物語の軸になっている部分は違うけど“はぐれ者の楽しさ”みたいなものを描いた作品という意味で、これらのタイトルと「ヲタクに恋は難しい」は同じタイプの作品なんじゃないかなと僕は思っている。ツーカーで話が通じる仲というのは、同じレベルで話をできない外側の人々から見ると実はとっても閉じた存在になる。僕はオタクで、学生のとき教室の空気になじめなかったしイジメに近いような体験もした。けれどオタクの友達と一緒にいるときは楽しく遊んでいたし、オタクで集まっているということに安心感があった。その状態から僕らが持つ実際的な気持ち悪さや暗い感情を排除し、スペシャル感だけを増幅していったものが「ヲタクに恋は難しい」だと言えよう。

ただスペシャル感を増幅して気持ち悪い部分が排除されているとはいえ「ヲタクに恋は難しい」を読んで「#仲間 #最高かよ」みたいな気持ちになれる人間は、やっぱり根がオタクな人だとは思う。あんなに美人の外川礼子さんが、このマンガを読んでいる。なんだか夢のあることだと信じてます。